アウトドアノンフィクションの最高傑作
独りだけのウィルダーネス

1970年代にアメリカの大工さんが昔からの夢だった未開の土地での生活を描いたノンフィクションの傑作!

本当に何もないアラスカの湖のほとりに、大工道具、当面の食料、衣服、猟銃等、必要最低限の装備を水上セスナで運び込み、家や家具をイチから作っていくんです。
石組の暖炉ももちろん手作り。
その暖炉なんて、あなたが思たのの3倍凄い!

いやいや本当に凄いですよ。冒頭の写真の丸太小屋は、湖のほとりのスプルースを何十本も切り倒し一人で運び出し皮を剥ぎ、切り込みを入れて一段ずつ積み上げます。
途方も無い作業を楽しみながら、途中その出来栄えに満足しながら完成させます。

更に驚くことに、ドアやテーブル、棚といった自作家具の板材も1枚1枚丸太から切り出すんですよ。
読んでいて「恐れ入りました」と何度呟いたことやら。
そのテーブルの出来栄えも素敵なんです。欲しい、、。

持って行った猟銃はカリブーを一頭倒したらその年の役目はお終い。
ただし熊よけには猟銃を頼りますが、狩りのために使うのは一回だけ。無駄な殺傷は致しませぬ。

そんな生産的な事ばかりやっている訳ではなく、厳冬期の満月の夜に月見の散歩に出たり、大きな狼の足跡に石膏を流し込んで足形にしてオブジェにしたり。
忙しい中にも生活に彩りを添えることも忘れないその姿は感動以外の何物でもありません。

リスとの食べ物をめぐる戦いと和解はほのぼのとさせてくれます。

この本だけは読み切るのが勿体なくて、途中まで読んでは暫く休んで、また最初から読み返してを繰り返して、ようやく読み終えたのは3年後でした。

そのくらい素敵な本です。
そうですね、あなたの思たのの3倍!
評価:もちろん満点